ゲームは勉強に悪影響or成績は落ちる?成績が上がる、害にならないとの情報も


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ゲームは勉強に悪影響or成績は落ちる?成績が上がる、害にならないとの情報も

ゲームは勉強に悪影響?学力は低下する?様々な調査結果を検証しました

香川県ではネット・ゲーム依存症対策条例が施行されており、18歳未満の子どもは、ゲームについて、1日あたり、平日は60分、休日は90分を上限と制限されたことが大きなニュースになりました。

そもそもゲームには成績や学力に悪い、良くない影響を与えるという認識が強くあります。

現在30代~40代の方からすれば、子どもの頃は任天堂のファミリーコンピュータ(ファミコン)、スーパーファミリーコンピューター(スーファミ)、プレイステーション(プレステ)が大人気だった時期でもあり、親から「ゲームは無駄な時間だからやめなさい。勉強をしなさい。」と言われてきたのではないでしょうか?

ゲームの悪影響は昔から言われていますが、本当に悪いものなのでしょうか?
友達やクラスメートでゲームをしているけれど、成績が優秀な人がいたことを思い浮かべる人もいるでしょう。

現在では持ち運べる任天堂Switch、少し前では3DSなどのゲーム機があり、スマホでも気軽に遊べるゲームもあり、公園やショッピングモールの休憩所でゲームをする子どもをよく見かけます。
このことから現代社会では、誰でも気軽にゲームを楽しんでいる状況であることがわかります。
またゲームを元にオリンピックのように競う「eスポーツ」では高学歴の人も多いことが指摘されています。
競技化してゲームにて対決するにはチェスや将棋のように相手の手を読む必要もあるのだとか。

今回は、ゲームはどこまで勉強や学力に影響を与えるのか、ゲームと勉強の因果関係など様々な調査を元に紹介します。
ゲームを多少するほうがゲームを全くしない人よりも成績が良い、上がるといったデータも紹介していきます。

目次
  1. ゲームを少しする人の方が、全くゲームをしない人より成績が良い?成績が上がる?
  2. SNSとゲームをする人で成績を比べた実験 学力との因果関係
  3. ゲームを辞めさせても勉強時間には小さな影響?

ゲームを少しする人の方が、全くゲームをしない人より成績が良い?成績が上がる?

ゲームは勉強に悪影響?学力は低下する?様々な調査結果を検証しました

ある調査では、中学生の時に「平日のゲームプレイ時間が1日1時間までの人」は「全くゲームをしない人」よりも、偏差値60以上の高校への進学率が高いことがわかりました。

この調査は、計量経済学の田中辰雄氏による1万5千人へのアンケートをとった結果です。
(調査は2019年5月に行われました)

こちらの調査は、大人になった人が、自分が中学生だった頃を思い出してもらい、平日に1日どれくらいゲームをしていた時間に対して答えたアンケートになります。

偏差値60以上の高校への進学率
ゲームをしない人 20.9%
15分/日のゲーム 30.1%
30分/日のゲーム 28.8%
1時間ほど/日のゲーム 22.1%
1時間半ほど/日のゲーム 18.1%
2時間ほど/日のゲーム 19%
3時間ほど/日のゲーム 15.3%
4時間以上/日のゲーム 10.9%

偏差値60以上の高校への進学率は、上記の結果が出ました。

ここで注目したい点は、1日3時間以上ゲームをする人は、進学率が低くなっていることがわかります。

しかし、一時間ほどのゲーム時間は勉強に悪影響を与えるどころか、ゲームをしない人よりも進学率が高いとの結果が出ています。

なぜこのような結果になったのでしょうか?この調査の別の質問でわかったことがあります。

自分でゲームの時間や勉強の時間など、ルールを決めた人の方が進学率は上がっており、ルールを決めた人の中で30分ほどゲームをする人でプラス10%の進学率、1時間以上ゲームをする人ではプラス4.6%、1時間半ほどする方ではプラス2.6%進学率が上がっています。

しかし、自分でゲームの時間を管理せずに、家族が決めたルールの元で、ゲームの時間を制限している人は、自分でルールを決めた人に比べ、全体的に進学率は下がる傾向にありました。

1時間半ほどゲームをする人で家族の決めたルールを元に行動している人は6.9%進学率が悪くなる結果が出ました。

この実験により、自己管理能力が高い子どもに関しては、1日2時間ほどゲームをしても勉強に影響が出ないとわかりました。

参照: ゲームは学力を低下させるのか――香川県のゲーム条例について

SNSとゲームをする人で成績を比べた実験 ゲームと学力の因果関係

SNSとゲームをする人で成績を比べた実験の結果

次にオンラインゲームとSNSが学力に影響を与えるか、オーストラリアのロイヤルメルボルン工科大学のAlberto Posso准教授の実験を紹介します。

オーストラリアの高校生12000人以上に対してテストを行ったところ、オンラインゲームユーザーのグループは、数学、読解、科学でゲームをしないグループを上回る結果が出たとのことです。

なぜこのような結果になったのか、ゲーム上で次のステージに進むパズルを解くために、数学、読解力、科学の理解が必要だからと考えられるとのことです。

しかし、SNSユーザーのグループに関しては、SNSをしないユーザーに比べて数学が20%低下、他の教科も平均4%低いスコアを出したとのことです。

このことから考えられることはゲームの種類によっては、頭を使ってゲームをクリアするため成績がよくなるということです。

ゲームは子どもが楽しんでプレイするため、自然とゲームをしている時間で成長していると考えられます。

参照:オンラインゲームは学力に影響を与えるか
論文はこちら

ゲームを辞めさせても勉強時間には小さな影響?

別の研究では子どもにゲームやテレビを見ている時間を1時間減らしたところで、勉強時間への影響はわずかしかないことがわかったとのことです。

これは結局ゲームを辞めさせたとしてもその時間は勉強に使われるのではなく、子どもがしたい時間にあてられることが多いと考えられています。

子ども自身は友達と遊んだり漫画を読んだりしたいことはたくさんあります。時間があるからと言って勉強をするかと言われればしないのでしょう。

参照:子どもはテレビやゲームの時間を勉強時間とトレードするのか-小学校低学年の子どもの学習時間の決定要因- 独立行政法人経済産業研究所

また安易にゲームを取り上げることで友達との会話にも影響が出る可能性もあることを危惧しましょう。

子供がゲームをして勉強や成績に悪影響があるのか調べましたが、それほど大きな違いは見られませんでした。
また1時間程度のプレイ時間ですと逆に成績があがる、そして自己管理ができていれば1日1時間程度のゲームプレイ時間も問題がないといった結果も出ました。

この結果から「ゲームは勉強に必ずしも悪い影響を与えるものではない」ということがわかりました。

ですがだからといってゲームをたくさんしてもよいということにはなりません。

なぜなら調査では1日3時間、4時間以上ゲームをしている人が、進学率も下がっていたともわかっているからです。

子ども自身や家族でゲームの時間を管理して、ほどほどにゲームを楽しむのが良いのではないでしょうか?

【中部教育ラボ】 監修:名進研

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