私立中学校の説明会より「読解力が重要!!」実際の試験問題を例に紹介 日常で伸ばす方法は?


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私立中学校の説明会より「読解力が重要!!」実際の試験問題を例に紹介 日常で伸ばす方法は?- シリーズ私立中講座⑨

シリーズ私立中講座

十二分に「知識」や技能を身に付ける

目次
  1. 受験では十二分に「知識」や技能を身に付ける必要がある
  2. 全ての教科に「読解力」
  3. さらに受験勉強で求められる「読解力」
  4. 読解力をあげるには新聞に親しもう!

受験では十二分に「知識」や技能を身に付ける必要がある

毎年5~7月にかけて各私立中学校主催の学校説明会が行われる。
多くの学校で昨年の参加者数を上回る盛況ぶりで、学校によっては会場内に収容しきれず、急きょ第二会場を設けた学校もあり、私立中への期待感の高さが感じられた。
学校説明会の出席者は年々増加し、以前は午前中1回だけの説明会が、参加者の増加から、午前2回、午前・午後に1回ずつ、午前2回・午後1回、あるいは学年、地域別に分けて実施するなど、私立中志向の高まりに各学校、対応している。

ここ数年は大学入試改革に向けて、どのような対応をするのか、についての説明もされている。
まず強調されているのは、このサイトでもこれまで何度も掲載しているが、「知識」の重要性だ。

一部まだ詰め込みの知識よりも考えることが大切、という風潮があるが、「知識」は絶対に必要だ。

学校説明会でも「十二分に知識や技能を身に付けてから、それを活用して考えるステップに移ること」が力説されている。
「知識」と「考える」は車の両輪のようなものだ。
グローバル化とともに英語学習の必要性が言われるが、世界史や世界地理に関する知識が欠如していれば、真にグローバルに活躍できる人材にはなれない。
地球温暖化を論ずる際、化学や地学などの知識がなければ、科学的に対応策を論ずるのは難しい。
単なる知識の詰め込みと批判するのは簡単だが、世の中の進歩は著しく、覚えなくてはいけない知識、考えなくてはいけない問題点が増えていくのは当然であり、その一方を否定してしまえば、世の中は退歩していくしかない。
私立中はその点をきちんと見極めて発信している。

全ての教科に「読解力」

全ての教科に「読解力」

今年の説明会では「読解力」の重要性が注目された。
今後の大学入試では、単に文章を読むだけでなく、グラフ、表、図も含めて多面的に内容をとらえる読解力、そこから考えをまとめる記述力が求められるようになる。
その流れから、現在の中学入試は、国語だけでなく、他の3教科でも問題文の長文化傾向があり、南山中男子部では算数の入試問題が約3000文字と、国語の長文一題分と変わらない文字数となっている。

南山中女子部の説明会では4教科すべてにおいて読解力の必要性が強調され、グラフ、図、表も含めた文章読解力がなくては、今後の入試に太刀打ちできなくなる。

今年の首都圏の開成中、国語の入試問題では、通常とは異なる形態の問題が出題され、「開成ショック」とも言われた。
お弁当を仕入れて販売した二人の社員を比較し、部長と社長が別々の社員を評価する内容が説明され、資料として売れ行きを表すグラフも示されて、次の問題が出題された。

・社長は、部長の報告のどの表現に、客観性に欠けたものを感じたのでしょうか。
二つ探し出してなるべく短い字数で書きぬきなさい。

・大西社員より小池社員を高く評価する社長の考えとは、どのようなものと考えられるでしょうか。
「たしかに」「しかし」「一方」「したがって」の四つの言葉を、この順に、文の先頭に使って、四文で説明しなさい。

文章だけでなくグラフの意味を読み取り、社長の考えを質問指示に従ってまとめる問題で、文章内容に加えグラフの数値の変化を正しく理解することができたかどうかで差がつき、従来の国語の枠を超え、新しい大学入試に対応する問題と注目された。

しかし、このようなグラフが含まれている国語の長文問題は、この地区ではすでに椙山女学園中(平成28年入試)で出題されている。

椙山女学園中(平成28年入試)の問題

長文は考えて工夫することの必要性の内容で、問一~問十は文章内容についての問題となり、文章内の「おっしゃっていました」という表現から問十一・十二が問われている。

問題十一の質問指示が「ふさわしくないもの」になっているため、グラフの数値と選択文の意味を明確に読み取らないと正解を選び出しにくい問題だ。
そして、次の問十二の記述問題、いわゆる自ら課題を見つけて、解決方法を考えた受験生自身の経験が求められている。

他教科でもこの種の複合的な問題は出題されており、今後このような問題が増えていくと考えられる。
そのため、グラフ、図、表も含めた読解力が、どの教科でも今後いっそう求められていく。

さらに受験勉強で求められる「読解力」

また、中学入試の問題を見ると、基礎学力だけでなく、中学・高校範囲から、あるいはその枠を超えた問題が出題されている。
問題の冒頭、その問題を解く手がかりとなる内容が説明され、それを理解して自分なりに考えて解答を導く問題で、いくつかの学校で出題されている。

こんな問題は習っていない、知らない、ではなく、与えられた条件から何とか答えをまとめることができないか、「読解力」、「ねばって考える思考力」、「集中力」が求められる問題だ。

さらに「読解力」

分かりやすい例で、平成27年度入試、金城学院中の国語で、いじめられて新しいシャツをだめにされた主人公が、敵対して相手にやり返すのではなく、いっしょにサッカーをしようと誘ったことにより、驚いた相手が素直に主人公とサッカーを楽しむという内容の文章が出題された。
そして、本文内容に関する問題がいくつかあった後に、次のような問題が出題されている。

(1)2014年に17歳で「ノーベル平和賞」を受賞したパキスタン人の少女の名前をカタカナ三字で答えなさい。
(2) (1)の人物は国際連合での演説でどのようなことを主張しましたか。
その内容を「暴力」「敵」「平和」「子どもたち」「教育」という五つの言葉をすべて使い、「・・・ということ。」につながるように、五十字以上六十字以内で書きなさい。

先ほどの文章を読んで、ノーベル平和賞をとった17歳の少女、マララさんを答え、受賞の際、どのようなスピーチをしたか、本文内容を基に考えてまとめる問題だ。

もちろん文章にはマララさんのスピーチに関する内容は一切ない。国語の問題に突然、社会の問題が登場して面食らった受験生も多かったようだ。
「そんなこと知らない、どうして国語の問題にそんな内容がでるの?」ではなく、本文の内容を正確に理解する読解力、その内容を基にして考える思考力、考えた内容を指示に従ってまとめる記述力が問われた良問だった。
大学入試改革を見越して、この地区の入試問題は最先端を走っている。

読解力をあげるには新聞に親しもう!

新聞に親しもう!

このような問題に関し、家庭でできることとして新聞に親しむことが挙げられる。
新聞には文章だけでなく、グラフ、図、表が登場する。小学生向けの新聞でも多彩な読解力育成につながり、時事・教養的問題にも対応できる力が付く。
東海中の平成26年、27年の国語の長文は、中日・朝日新聞の記事がそのまま出題されている。
新聞を読みこなすことが、新しい傾向の入試問題にも対応できる読解力育成につながっていく。

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