共通テストとはどんな試験?概要やメリットデメリット、受験科目の選び方まで徹底解説!
シリーズ私立中講座
多様化している大学入試の仕組みは、初めて受験する方にとっては、複雑だと感じることも多いかもしれません。
大学受験を目指す方であれば、誰もが耳にしたことがある共通テストについても、どのような試験なのか、受けることによって得られるメリットなどについて、はっきり理解しているという方は少ないのではないでしょうか。
今回は、共通テストとはどのような試験なのか、受けるメリットとデメリット、受験科目の選び方などについて詳しく解説します。
共通テストとは?
共通テストとは、「大学入学共通テスト」の略称で、各大学が独立行政法人「大学入試センター」と共同で実施している試験のことを指します。約30年間、2020年まで実施されてきたセンター試験(正式名称:大学入試センター試験)の後継にあたる試験であり、2021年から実施されています。
国公立大学は定員の約8割を一般選抜で募集しているため、国公立大学志望者は、まず一般選抜での受験を考える方が多いでしょう。国公立大学の一般選抜は、1次試験的役割を果たす「共通テスト」の得点と、大学別に実施される「2次試験(個別学力検査)」の得点の合計で合否を判定するケースが一般的だといわれています。そのため、国公立大学の一般選抜受験者は原則、共通テストを受験しなければなりません。
私立大志望者にとっては、共通テストの受験は必須ではありませんが、多くの私立大学でも共通テストの成績を利用する「共通テスト利用方式」を設定しています。「共通テスト利用方式」は「大学入学共通テスト利用入試」という名称で、各大学が実施する共通テストの受験科目を利用して複数の大学、短期大学、学部学科を受けられるため人気があります。
大学入学共通テスト利用入試の仕組みは、まず受験生が共通テストを受験して、各大学の共通テスト利用入試に出願をします。それぞれの大学は、出願者の試験結果を大学入試センターに問いあわせ、その結果合否が決まるという入試方式です。
私立大学の一般選抜では、大学が独自に試験を行うため、大学入学共通テストの受験は必要ありませんが、共通テスト利用入試は共通テストの成績で合否が決まり、個別試験は行わないケースがほとんどです。
国公立大学の志願者は併願しやすく、負担を抑えながら合格のチャンスを増やせるといわれています。そのため、大学進学を考えている受験生にとっては、共通テスト対策は必須だといえるでしょう。
共通テストの受験料や出願方法は?
共通テストを受験する際の受験料や出願方法、あわせて試験会場と試験日程について紹介します。
受験料
共通テストの受験料は、3教科以上受験で18,000円、2教科以下受験は12,000円とされています。私立大学を受験する際に共通テストを利用する場合は、約15,000円と共通テストの受験料がかかることが一般的です。私立大学の場合、学校推薦型選抜、総合型選抜、一般選抜(独自入試)にかかる費用は1校あたり約35,000円とされています。私立大学では、共通テスト利用方式のほうがやや安価だということがわかります。その理由は、共通テストを利用することによって、大学は試験問題を作成する手間がかからず、その結果受験料を抑えられるからです。一方、受験生にとっては、もちろん学校によって多少の差異はありますが、何校も併願することにより、受験費用はかさむため、しっかりと志望大学の受験料や入試システムを確認することが大切です。
出願方法
共通テストの出願方法は2つに分けられます。受験生が現役生の場合は、「志願票」に「検定料受付証明書」を添えて、在籍学校経由で出願できます。浪人生は、「志願票」に「検定料受付証明書」と「出願資格を証明する書類」を添えて個人で直接出願します。その際、必ず「簡易書留郵便」で大学入試センターに提出しなければならないので、注意が必要です。
試験会場
試験会場においても、受験生が現役生か浪人生かどうかで異なります。
現役生:出願時に在学している学校が所在する試験地区内の試験場
浪人生:志願票に記入された現住所の試験地区内の試験場
試験日程
共通テストの日程は、センター試験と同様、毎年1月中旬の土・日曜の2日間とされています。2022年の共通テストは、1月15日~1月16日の土日2日間で試験が行われ、2023年は、1月14日〜1月15日の土日2日間で予定されています。
単独型と併用型の違い
私立大学の「共通テスト利用入試」は、「単独型」と「併用型」の2種類に分けられます。ここでは、単独型と併用型のそれぞれについて、詳しく解説します。
単独型
単独型は、共通テストを受験して、希望の大学に出願するだけで合否が決まる仕組みです。併用型と比較すると、採用している大学が多いことが特徴の1つです。受験科目は必須科目と選択科目があり、双方を組みあわせるケースもあります。
単独型を選ぶメリットは、私立大学の入試を受けに行かなくてもいいという点があげられます。私立大学を複数受験する場合、受験日程をどう組むかが大きな問題の1つになりますが、単独型の共通テストを利用すれば、受験日程を調整する必要がありません。また、一般選抜のように、大学独自の過去問対策をする時間を省けることもメリットだといえるでしょう。
国公立大学を志望する受験生が滑り止めとして私立大学を受験する際、単独型を利用すれば共通テスト以降の時間で2次対策に集中できます。多くの国公立大学志望の受験生が滑り止めとして出願するので、単独型はボーダーラインや共通テスト得点率が高くなる傾向があるともいわれています。
併用型
併用型は、共通テストの結果と大学ごとに行う、個別試験の結果をあわせて合否が決まる仕組みになっています。合否の判定方法は、合計点で判定するケースと、個別試験の結果と比較して点数の高い方を採用するケースがあります。個別試験では、小論文や面接が課されることが多い傾向にあり、受験する学部、学科によって、さまざまなパターンがあります。
併用型のメリットは、共通テストの得点が不十分であったとしても、大学独自のテストで挽回できる可能性があるということがあげられます。また、単独型と比較すると、併用型は大学独自の対策をしなければならないというデメリットはありますが、さまざまな加点をしてもらえるというメリットがあります。加点の対象は、たとえば、英検®やTOEFL®などの外国語外部試験でみなし点を加点して判定してもらえるケースや、調査書で高校の活動を判定して得点化、加点してもらえるケースなどです。大学にもよりますが、単独型より併用型のほうが、ボーダーラインが低い傾向にあるため、合格の可能性が高くなるともいわれています。
共通テストのメリット
以下では、共通テストを受験する際に得られるメリットを紹介します。
複数の大学の対策を同時に行える
共通テスト利用入試は、共通テストの点数を使って大学入試ができる制度です。そのため、共通テストで高得点を取れれば、複数校に出願して合格を勝ち取ることが可能になります。また、それぞれの志望大学独自の対策をする必要がないため、複数の大学の対策を同時に行える点は大きなメリットだといえるでしょう。
お金と時間を効率的に使える
共通テストは一般選抜と比べて受験料が安いため、受験費用を抑えることにもつながります。地元での受験が可能なため、志望大学のある地域まで交通費をかけて遠征する必要もありません。そのため、お金と時間を効率的に使うことができる点もメリットの1つとしてあげられます。
共通テストを重視する動きが多く見られる
コロナ禍の影響もあり、2次試験を中止して共通テストを重視する大学が増加しています。また、新型コロナに罹患してしまい私立大学の一般試験を受けることができなかった場合、共通テストの結果で出願が可能という大学も増えています。
コロナ禍という視点からも、共通テストを受験するメリットは大きいといえるでしょう。
共通テストのデメリット
共通テストを受験するメリットとは反対に、デメリットはどのようなことなのでしょうか。ここでは、共通テストを受験するデメリットについて紹介します。
難関私立になるほど合格ラインが上がる
私立大学受験で共通テストを利用する場合、難関私立になるほど学力の高い受験生たちが出願するうえに、募集人数自体が少ないため倍率が高くなる傾向にあります。結果合格ラインが上がってしまう点はデメリットの1つとしてあげられます。
受験科目数が多くなることがある
共通テスト利用入試のデメリットの1つとして、受験科目数が多くなることがあることもあげられます。私立大学の一般選抜であれば3科目前後に絞ることが可能ですが、国公立大学の多くは5〜6科目を指定されることが多い傾向にあります。そのため、受験勉強をする時間が増えた教科の分だけ分散してしまいます。苦手科目がある方や準備期間が少ないという方は、一般入試のほうが有利になることもあるかもしれません。
志望校の決定を急ぐ必要がある
共通テスト利用入試の出願期間は大学によって異なり、中には共通テスト実施前に出願しなければいけない場合もあります。そのため、志望校の決定を可能な限り急ぐ必要がある点もデメリットだといえるでしょう。
受験科目の選び方
共通テストの出題科目は、国語・地理歴史・公民・数学・理科・外国語の6教科30科目で構成されています。これらの中から、最大8科目(理科①を選択した場合は9科目)を受験できます。受験に必要な教科数は、一般的に国公立大学では多くの大学が5教科以上、私立大学の共通テスト利用方式では2〜3教科です。
共通テスト当日に、登録していない教科を受験することや、「地歴・公民」を登録した科目数以外(1科目→2科目または2科目→1科目)で受験すること、「理科」の科目選択方法(理科①、理科②のいずれを何科目受験するのか)を変更することはできないため、受験科目の選び方には注意が必要です。ここでは、受験科目の選び方のポイントについてご紹介します。
大学が定める試験科目を確認する
まず、志望大学が定めている試験科目を確認しましょう。なるべく早い段階で確認することをおすすめします。志望大学では選択できない科目を重点的に勉強していた、ということを避けるためです。効率よく受験勉強をするためにも、志望大学や気になる大学の入試要項を早い段階でチェックしておきましょう。
科目選択時に特に注意しなければならない科目は、「英語以外の外国語」「数学Ⅰ」「数学Ⅱ」「簿記・会計」「情報関係基礎」「地歴A(世界史A・日本史A・地理A)」です。その理由は、これらを出題科目として指定しない大学が多い傾向にあるためです。公民の「現代社会」「倫理」「政治・経済」も、旧帝大などの難関大学では受験できないケースが見られる科目ですので注意しましょう。また、理科と社会は選択する科目を間違えると受験できなくなることもあるため、注意が必要です。志望校の試験科目に定められていて、なおかつ自分の適正にあわせた選択をすることがもっとも重要です。
学校で勉強している科目を選ぶ
学校で勉強していない科目を選択した場合、基礎から勉強する必要があるため、効率的に受験勉強を進めるのが難しくなります。特に、日本史と世界史は、理解する難易度は高くありませんが暗記量が多いため、学習に時間がかかりやすい科目だといえます。効率的に合格を目指すのであれば、学校の授業をうまく活用できる科目を選択しましょう。
好きな科目から候補をあげる
自由に選ぶことができるからこそ、好きな科目から候補をあげるのも1つの方法です。入試までの受験勉強に励む期間は長い時間を要します。好きな科目であれば、モチベーションを保ちやすく、勉強の成果も実感しやすいでしょう。
英語、国語、数学は必須であることが多いですが、社会や理科は選択の場合もありますので、できる限り好きな科目や得意な科目を率先して選ぶのがよいです。また、学力に不安がある、受験までの時間があまりないという方は、短時間で理解しやすい科目を優先的に選ぶのも1つの手です。たとえば、理科から科目を選ぶとして、暗記が得意なのであれば生物や地学、理解することが得意なのであれば、物理や化学を選ぶ、といった方法が考えられます。
試験当日の注意点
ここでは、共通テストの試験当日の注意点や禁止事項について詳しく紹介します。
試験時間中に使用してはいけないもの、机の上に置いてよいものをしっかり把握しておく
試験時間中は以下のもの以外を使用したり、机の上に置いたりすることは不正行為になるため、注意が必要です。
●受験票・写真票(最初に受験する試験時間中に回収される)
●黒鉛筆(H、F、HBに限り、和歌・格言などが印刷されているものは使用不可)
●シャープペンシル(メモや計算に使用する場合のみ使用可。解答には上記の黒鉛筆を使用し、黒い芯に限る)
●プラスチック製の消しゴム
●鉛筆削り(電動式・大型は不可。ナイフ類も不可)
●時計(辞書、電卓、端末等の機能があるものは不可。これらの機能があるか判別しづらいものも不可。秒針音のするもの・キッチンタイマー・大型のものも不可)
●眼鏡、ハンカチ、目薬、ティッシュペーパー(袋や箱から中身だけ取り出したものは使用可)
以下の2つは、試験時間中にかばんなどにしまわずに、手に持っていたり、身に着けたりしているだけで不正行為とみなされる場合がありますので、特に注意が必要です。
●定規(定規機能を備えた鉛筆も不可)、コンパス、電卓、そろばん、グラフ用紙等の補助具
●携帯電話、スマートフォン、ウェアラブル端末、電子辞書、ICレコーダー等の電子機器類
マスクを着用する
コロナ禍では、共通テストにおいて昼食時を除きマスクの着用が求められています。感覚過敏などによりマスク着用が困難な場合は事前の申請が必要なため、注意しましょう。また、マスクを着用せずにフェイスシールドやマウスシールドのみを着用して受験することは認められていません。
服装に注意する
試験室内でコートを着用しても問題はありませんが、英文字や地図等が印刷されている服等は着用してはいけないとされています。着用している場合は、脱ぐことを求められることもあるため、注意しましょう。
共通テストを上手に利用しよう
大学受験において、共通テストは重要な要素の1つです。共通テストを利用する際には、自分の志望校や適正などを鑑みて、単独型にするのか併用型にするのかを決めましょう。また、科目の選び方も合否の結果を左右します。志望大学に定められていて、なおかつ自分が効率よく勉強できる科目を選びましょう。
大学受験を見据えて、早期に学習習慣を身につけ、各教科の基礎を固めておくことはとても大切です。名古屋市内に本社を構え、東海地方で学習塾を展開している「THE進学塾名進研」では、小学生のうちから高い学力をめざし、共通テストに向けて、「思考力・判断力・表現力」を養う学習に取り組んでいます。小学生・中学生を対象とした、詳しい講座の内容は、こちらの講座概要|進学塾・学習塾の名進研でご覧いただけます。
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