総合型選抜とはどんな制度?国公立大学受験に活用する方法も紹介


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総合型選抜とはどんな制度?国公立大学受験に活用する方法も紹介

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総合型選抜とはどんな制度?国公立大学受験に活用する方法も紹介

近年、多くの大学では総合型選抜という入試形態が取り入れられており、実に8割を超える大学が導入していると言われています。一昔前まで主流だったAO入試が内容を新たにして浸透しているのが総合型選抜ですが、どういった入試なのかいまいち把握しきれていないという方も多いでしょう。
そこで今回は、総合型選抜について概要や選考方法を踏まえて詳しくご紹介します。合わせて、国公立大学の受験に活用できる方法も紐解いていきましょう。

目次

総合型選抜とは?

総合型選抜とは?

総合型選抜は国公立大学や私立大学における「AO入試」が原型です。
総合型選抜が取り入れられたのは2020年のことで、文部科学省の入試改革によってAO入試から改められました。

総合型選抜のほかには、一般選抜と学校推薦型選抜が設けられています。従来のAO入試では、書類や面接のみを実施していましたが、総合型選抜になったことで学力評価も義務付けられました。

ここでは総合型選抜の概要やその他入試との違いについて解説します。

総合型選抜の概要

総合型選抜の入試で行われるのは、面接と論文そしてプレゼンテーションが通例です。その中で、学習意欲や学ぶことに対する目的意識を持っているかどうかが重要視されています。

志望理由や自己アピールをエントリーシートに記入、事前課題の提出を求められるケースもあります。出願前に提出が必要な学校もあるため、事前の調査と入念な準備が必須です。

一般選抜との違い

総合型選抜が一般入試と異なる点としては、受験者の人となりが合否に関わることが挙げられます。
一般入試の場合、学力に重点を置いて選考されます。一方、総合型選抜では、高校での課外活動の実績や入試で提出した小論文、そして面接等を通じて面接官が人物像を評価します。そして、大学側が求めている人物像と合致しているかどうかが合否のポイントと言えるでしょう。

文部科学省が定めている「学力の3大要素」でも、「知能・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協調性」が重視されており、従来のセンター試験や一般入試で行われていた正しく解答できるかどうかという考え方は再検討されているのが現状です。

学校推薦型選抜との違い

基本的に総合型選抜は学校からの推薦は必要ありません。一方、学校推薦型選抜は学校からの推薦が必須です。さらに、高校での評定平均や学業に限らず課外活動実績などを含んだ全般的な実績も求められます。学校から推薦された人物が受験をするため、大学側にとっては学生の評価がしやすくなるといったメリットがあるでしょう。実施期間は11月頃に集中しており、約1ヶ月の短期間で選考が行われます。

総合型選抜でも、学校推薦型選抜と同じく学業以外の実績も問われますが、各大学が持つ受け入れ方針がポイントとなるため、学校推薦型選抜より時間をかけて選考が行われます。入試の期間も非常に長く、一般的に9月から翌年の2月までに実施されています。

総合型選抜が向いている人

総合型選抜が向いている人

総合型選抜は、学力に加えて人間力を見られる入試方式です。文部科学省は、総合型選抜を「意欲や目的意識等を総合的に判定する入試方法」と明言しています。そのため、まず大切になるのは大学で学びたいという熱意です。
とはいえ、闇雲に熱意を伝えるだけでは合格できません。意欲や情熱を伝えるためには、高校時代に培った経験が後押ししてくれるでしょう。こうした熱意と経験・行動が一致している人は総合型選抜が向いていると言えます。熱意がしっかり伝わることで、大学側も受け入れ方針に会う人物かどうかを判定しやすくなるためです。

また、豊かな人間性があり社会性に長けている人も総合型選抜に向いています。例えば、勉強一筋という人よりも、ボランティア活動や部活動、生徒会活動などを積極的に行ってきた人は、たくさんの経験を積んできた人として評価されやすいでしょう。

総合型選抜の選考方法について

総合型選抜の選考方法は、国公立大学と私立大学で異なります。特に、私立大学の選抜方法は、大学や学部によってバラエティに富んでいます。高校時代の評定や共通テストの結果など学力の面も大切ですが、単純に学力だけを見て選考されるわけではありません。面接や小論文に加えて、ディスカッションやプレゼンテーションなども、それぞれの学校のカラーに合わせた選考方法が採用されています。

私立大学で多く見られるのが、対話型による選考です。エントリー段階や正式な出願を通して、事前面談や予備面談が繰り返されることも珍しくありません。本面談も加えると複数回の面接を取り入れて、意欲や志望動機を重点的に見るとともに人物像を評価されます。

また、私立大学では、書類審査が厳しい学校が多いのも特徴です。出願条件が定められているケースが多く、専願か併願か、または現役・既卒の指定があるなど、大学によって異なるので事前のチェックを忘れないようにしましょう。

総合型選抜に受かるための対策を知りましょう

総合型選抜に受かるための対策を知りましょう

総合型選抜は、一般選抜とは異なり事前の準備から当日の対策まで、事前の情報収集や入念な準備が欠かせません。さらには、受験に至るまでの経験も大いに影響してくるため、総合型選抜を狙う以上はしっかりと受験を意識した行動を取る必要があります。総合型選抜に受かるためのポイントを4つ押さえていきましょう。

志望校について念入りに調べる

総合型選抜は、書類選考の段階からスタートしています。まずは、志望校がどのような選考方法を導入しているのか、出願条件は定められていないかを確認しましょう。加えて、志望校が求めている人物像についてしっかりと把握しておく必要があります。その上で、志望動機や目標が、志望校と見合っているかどうかを照らし合わせることが大切です。

志望校の理念や校風とマッチすることを確認したら、エントリーシートに記載する志望理由や自己PRを練っていきます。大学側にとっては、合否を判断する貴重な材料となる資料です。頭の中を整理して、伝わりやすく書くように心がけましょう。

選考方法に特化した準備を行う

選考方法を把握したら、それに見合った準備をしていく必要があります。例えば、積極的な課外活動への参加も大切な準備です。高校生から参加できるシンポジウムやワークショップなどにもチャレンジして、様々な経験や実績を積むようにしましょう。

大学や学部によって、特に重視される科目や選抜ポイントがあります。自分の志望する大学がどこに重点を置いているのかを理解して、勉強や経験を積むことも大切です。
例えば、英語に特化している大学を受ける場合は、一般的な科目に加えて、英語に関わる分野を強化していくと良いでしょう。また、ディスカッションやプレゼンテーションを選考方法に取り入れている場合は、対話力を上げていく必要があります。

学力アップも欠かせない

2021年度から、総合型選抜においても学力を重視するように義務付けられています。このことから、大学によっては、合否を判断する材料として大学入試共通テストの点数も対象にするようになりました。つまり、総合型選抜でも学力が問われるようになったため、学力アップも欠かせないのです。

面接や小論文などに気を取られて、勉強をおろそかにしてしまうお子さまもいらっしゃいますが、早い段階から受験勉強を進めていくことが大切です。また、志望校の受験内容や難易度をチェックすることも忘れないようにしましょう。志望校に合わせて、問題集や参考書等を選ぶことで、効率の良い受験勉強をすることができます。

小論文や面接の対策

なによりも欠かせないのが小論文と面接の対策です。まず、小論文では適性や基礎学力が試されます。事前に志望校がどのような出題傾向なのかをチェックして、早い段階から文章を書く練習を積むことが大切です。また、志望校や専門分野に関わる情報を普段から意識しておくと、小論文を書く上でのヒントになるでしょう。

面接では、面接官があらゆる角度から受験生を評価します。そのため、自己アピールをするだけではなく、大学や学部についての理解度がどれだけあるかも大切です。面接の形式は様々で、受験者一人で受ける個人面接もあれば、複数の受験者で受ける集団面接も少なくありません。また、理系学部では、口頭試問という方式がとられることもあります。質問に対して、自分の意見や知識、発想力をチェックする質疑応答形式です。

面接形式がどういった形であれ、マナーやハキハキとした応答は欠かせません。身だしなみをしっかり整えて、清潔感を持って面接に臨むように心がけましょう。また、挨拶や姿勢、言葉遣いに意識を向けることも大切です。その上でリラックスしてわかりやすく答えていくようにします。

とはいえ、小論文や面接は一人で対策をするのが非常に難しい分野です。例えば、小論文の力を伸ばすためには、第三者に添削をしてもらうのが良いでしょう。また、面接では、ロールプレイをすることでイメージがつかみやすくなるでしょう。そのため、小論文や面接対策を行っている塾に通い、サポートしてもらうことが近道と言えます。塾を選ぶときには、総合型選抜に対応している塾を選ぶのが良いでしょう。

国公立大学の総合型選抜について

私立大学や短大において盛んに導入されている総合型選抜ですが、国公立大学においても実施するケースが増えています。私立大学と比べると、募集基準が緩いことが多く、大学が設けた基準を満たしていれば、誰でも出願可能です。
ただし、学校によっては英検の資格を持っていることや全国コンテストに入賞していることが条件となっているところもあるので、事前のチェックは欠かせません。

ここからは、国公立大学の総合選抜について解説していきます。

難関と言われる国公立大学の総合型選抜

国公立大学の総合型選抜は、比較的簡単にチャレンジできるイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、実は一般的には難関とされています。
一般選抜や学校推薦選抜と比較すると、総合型選抜は大学側も時間をかけて合否を判断している点が理由の一つです。また、私立大学では対話型や実技型の選考方法が多く導入される傾向がありますが、国公立大学では学力型が主流となっています。

事前に配布される様々な内容の資料を元に、ボリュームのある論文を提出するケースなどもあり、安易にクリアできるような課題ではありません。

選考方法のユニークさ

国公立大学の総合型選抜では、科目によってユニークな選考方法を取り入れているケースもあります。
例えば、すべての授業を英語で行うような大学では、日本語だけではなく英語の面接や小論文を導入しています。また、物理に特化した大学では、国際科学コンクールや全国物理コンテストにチャレンジしたり、好成績を納めたりしていることが条件となっているところもあり、学校の特色が表れています。

そのほか、事前にセミナーやスクーリングなどに出席した上で、レポートを提出するパターンもあるでしょう。大学によっては、9月に出願して翌年の2月に合格発表となるロングスパンで選考を行うケースも見られます。

提出書類のバリエーション

出願時に提出する書類が多岐に渡るケースが多いのも、国公立大学における総合型選抜の特徴です。細やかな準備が必要となるため、早い段階から対策をしていく必要があります。
例えば、志望理由を長文でまとめることや自己推薦書を提出することが課せられることもあるでしょう。

総合型選抜は学校推薦型選抜とは異なり、学校からの推薦が必要ありません。そのため、試験を受ける前の段階から、受験生自身が自分の考えを明確にまとめる必要があります。
志望校に入りたいという確固たる意志を持って、下調べから提出まで抜かりなく準備していくように心がけましょう。

まとめ

総合型選抜は、いかに早く準備を始めるかが非常に大切です。また、単に勉強に力を入れるだけではなく、高校生活を充実させる必要もあります。高校に入る前から、自分の得意分野や興味を明確にしていき、大学受験に向けて志望校を絞っていくことも欠かせません。

また総合型選抜は、まだまだ新しい選考方法です。そのため試験制度における知識や対策について、保護者としての悩みも尽きないものでしょう。
笑顔あふれる大学受験合格を目指すためには、高校入試の段階から保護者の努力も必要となってきます。こうした悩みは、高校入試を控えるお子様を持つ保護者なら誰でも抱えているものです。

名進研では、同じような悩みを経験した保護者の皆さんからの体験記を紹介しています。経験者の声は、これから入試を控えているお子様をお持ちの保護者の方々にとって、大いに参考となるでしょう。ぜひ一度、ご覧ください。

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