部活動は成績に影響する?論文と学力分析から成績が下がる事例を提示


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部活動は成績に影響する?論文と学力分析から成績が下がる事例を提示

部活動のメリットとは?部活は成績に影響する?

中学校から本格的に始まる部活動を楽しみにしている子どもは少なくありません。

野球やサッカー、バスケットボール、バレーボール、柔道、剣道、ダンス、ブラスバンド、軽音楽部など、数多くのクラブの中から自分のやりたいものを選べるからです。

ただし、親の立場からすると気になるのが「部活による成績への影響」。
授業後に部活をして疲れた状態で、きちんと勉強に取り組めるのか?
休日に大会や練習が入れば、勉強時間が削られるのではないか?と不安に思う方も多いでしょう。

そこで今回は、部活動の時間と成績の関係性を調べた調査や、体力と学力の相関を示す論文を紹介していきます。

目次
  1. 全国学力テストの結果 部活動を全くしないグループが最低点
  2. 部活動のメリット 成績以外にも

全国学力テストの結果 部活動をしない生徒グループが最低点に

部活動のメリット 成績以外にも

ここでは、平成29年度に実施された全国学力テストの結果を紹介します。

この調査は質問紙を用いたもので、小学校19,970校、中学校10,080校が参加した大規模なものです。
下記の表は、1日の部活動時間ごとに分類した生徒の正答率をまとめたものです。

1日の部活動平均時間
  3時間以上 2~3時間 1~2時間 30分~1時間 30分未満 全くしない
国語A 73.0 78.9 80.4 77.5 75.4 72.8
国語B 66.5 74.2 76.0 72.2 69.8 65.8
数学A 58.9 66.7 69.1 64.7 62.9 56.8
数学B 43.3 49.7 52.1 48.9 47.9 42.6

このように、最も高い正答率を示したのは「1~2時間の部活動を行うグループ」、次いで「2~3時間のグループ」でした。

一方で注目すべきは、「毎日3時間以上部活動を行う生徒」と「全く部活動をしない生徒」の正答率が低い点です。
この結果から、長時間の活動は勉強時間や集中力を奪い、逆に部活を全くしない場合も学力向上に結びつきにくいのではないかと考えられます。

以上を踏まえると、部活動は適度な時間であれば成績にプラスに働く可能性が高いといえるでしょう。
子どもが部活を希望する際には、そのクラブの活動時間を把握し、勉強との両立が難しくならないように、あらかじめ「部活と勉強を両方取り組む」という約束をしておくことが大切です。

引用:リセマム 【全国学力テスト】部活時間と正答率に相関、部活「まったくしない」は最低

部活動のメリット 成績以外にも大きな効果

部活動のメリット 成績以外にも

これまで部活動が成績に与える影響を紹介しましたが、実は部活動に取り組むことには学力以外にも数多くの利点があります。

その代表的なものが、「ライフスキルの向上」です。
ライフスキルとは、日常生活を送る上で欠かせない力のこと。
意思決定や対人関係の構築、創造的思考、緊張やストレスへの対処など、子どもが社会を生き抜くために必要な能力を指します。
※WHOが定めるライフスキルには、(1)意思決定能力 (2)問題解決能力 (3)創造的思考 (4)批判的思考 (5)効果的なコミュニケーション能力 (6)人間関係の構築・維持能力 (7)自己認識 (8)共感力 (9)感情のコントロール (10)緊張やストレスへの対処能力、の10項目があります。

実際の研究結果でも、部活動に参加している人は参加していない人に比べてライフスキルが高い傾向にあることが示されています。
また、レギュラーとして活動している生徒の方がそうでない生徒より高く、さらに大会規模が市町村大会 → 県大会 → 全国大会 → 国際大会と大きくなるにつれ、ライフスキルも高まることが明らかになっています。

引用:運動・スポーツ経験がライフスキルに及ぼす影響

こうした力が最も活かされる場のひとつが「就職活動」です。

学生時代に熱心にクラブ活動やサークル活動に取り組んだ経験は、採用試験で高く評価されやすい要素の一つです。
企業が部活動経験者を評価するポイントには、以下のようなものがあります。

・部活動は忍耐力やストレス耐性を高める

部活動の厳しい練習を続けることで、自然と忍耐力ストレス耐性が身につきます。
結果がすぐに出ないときや失敗をしたときでも、簡単に諦めずに物事に取り組めるようになります。
この力は、受験勉強社会人としての仕事においても非常に重要で、就職活動でも高い評価につながります。

・部活動は成長意欲を引き出し、挑戦する姿勢を育てる

仲間と共に練習し、競い合うことで「もっと成長したい」という気持ちが強くなります。

「上達したい」「勝ちたい」という目標を持って努力する経験は、自己成長のサイクルを生み出し、勉強や将来の仕事においても活かされます。
部活動を通じて培った成長意欲は、就職後のキャリア形成にも大きな効果を発揮するのです。

・部活動で協調性やコミュニケーション能力が育つ

野球やサッカーといった団体競技だけでなく、ブラスバンドやダンスなどでも仲間との協力が欠かせません。
個人競技であっても練習は複数人で行うため、自然と協調性コミュニケーション能力が養われます。
さらに部活動では、上下関係や礼儀を学ぶ場面も多く、社会に出てからも役立つ人間関係のスキルが身につきます。

このように、部活動には忍耐力・成長意欲・協調性といった社会で求められる力を育む効果があり、就職活動でも評価されやすいとされています。
また、適度な時間の部活動は成績向上ライフスキルの向上にもつながることが調査から明らかになっています。

もちろん、部活動だけがメリットを生むわけではなく、習い事や地域の活動でも同様の効果を得られるでしょう。
そのため、子どもが「やりたい」と思ったときは積極的に挑戦させてあげたいものです。

ただし注意点として、部活動が長時間になりすぎると勉強がおろそかになる可能性もあります。
部活動を始める前には「勉強との両立」を子どもと約束し、バランスを意識することが大切です。

【中部教育ラボ】 監修:名進研

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