私立中学と公立中学の英語学習には圧倒的な差がある 私立中の授業、留学の内容を紹介


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春の学校説明会から - 私立中の英語力 さらにバージョンアップ - 私立中講座⑩

シリーズ私立中講座

現状にとどまらない

目次
  1. 私立中の英語教育は現状にとどまらない
  2. 英語speaking力の強化
  3. 多聴多読・英語ペン

私立中の英語教育は現状にとどまらない

私立中と公立中で圧倒的な差がつく教育内容として「英語」が挙げられる。
すでにこのサイトでも掲載しているが、下記の内容からもその差がいかに大きいかが分かる。

私立中 公立中
週6~7時限の英語の授業 ・週3~4時限の英語の授業
・検定教科書以外に、単語数が多く応用的内容も学習できるNew TreasureやProgressなども使用。 ・検定教科書を使用
常勤のネイティブの先生による英会話の授業が中1から週1~2回、クラスを分けて実施。 ・ネイティブの先生が常駐することはなく、ネイティブの先生の英会話の授業はほとんどない。
中学高校の6年間の英語指導の流れが組み立てられている。 ・中学と高校の英語指導は分断される。
各学校独自に、中学生も参加できる海外・国内の語学研修を実施。 ・中学校で海外の語学研修を実施する学校はない。

私立中の英語教育は現時点でも、英語の4技能が求められる2020年の大学入試改革に十分対応できるものだが、それをさらにバージョンアップさせようとしている。

一昨年から、それらの新たな取り組みが学校説明会でも強調され、私立中が現状にとどまることなく生徒の英語力向上に努めていることがひしひしと伝わってきた。

英語speaking力の強化

【GTEC speaking】

GTEC speaking

名古屋中では新たな取り組みとして、特に英語のspeaking力強化のため、英語の質問に対する返答(英語)をタブレットに吹き込んで、その内容が判定されるGTEC speakingを中3生が受験。
問われる内容は次の4点になり、これまでの英語の試験とは異なる新しい形態であることが分かる。

  • ・正確な発音で音読ができるか。
  • ・適切に応答する力があるか。
  • ・話の流れを踏まえて相手に伝わるように状況を説明する力はあるか。
  • ・身近で社会的なテーマに対して、自分の意見とその意見をサポートする理由が言えるか。

【留学プログラム】

さらに、留学プログラム、国際交流をいっそう充実させる旨も説明があり、留学プログラムとして、次の三つが行われている。

  • ・サマーエクステンション(短期留学、中1~高2)
    バットスウッド・スクール(イギリス)、ピアス・ミドル・スクール(アメリカ)
  • ・Year9 program(中3三学期)
    オーストラリアのメントーン・グラマー・スクールで、1グループ25名の男子生徒(メントーン生)の中に一人だけ入り、8週間、様々な体験を通して高校生に向けての自覚を養い、8週間24時間、英語のシャワーを浴び続ける体験。
  • ・長期留学(一年、高1・2)。

【国際交流】

国際交流

私立中の国際交流は歴史と伝統があり、大学入試改革があるから急きょ始めたという、付け焼刃的なものではない。

  • ・海外交流校 イートン・カレッジ(イギリス)
    1997年からイートン校で行われるサマースクールに参加、現在で15名の生徒が毎年イートン校で英語研修を実施。
  • ・海外兄弟校 メントーン・グラマー・スクール(オーストラリア)
    1991年にメントーン・グラマー・スクールの生徒が2週間、名古屋高校でホームスティをしたことから始まり、1994年に正式に兄弟校の協定を結ぶ。
    交換プログラムは中高生の相互短期スティと高校生の1年間交換留学。
  • ・海外兄弟校 アイオナカレッジ(オーストラリア)
    2018年春から新たな提携校となり、今後活発に交流が行われていく。

また、高校サッカー部がドイツ遠征、高校バスケットボール部がボストン遠征と、部活単位の交流もあり、授業、GTEC speakingの受験、海外研修、部活の遠征と、生の英語に触れて英語の4技能を養う機会がしっかりと用意されている。

多聴多読・英語ペン

多聴多読・英語ペン

また、別の取り組みとして、南山中女子部では現在すでに英語の本が完備されているが、今後4年間、年間100万円の予算で、それらをさらに増やしていく説明があった。
英語の多読多聴の「多読」を重視し、英語の4技能に対応できる環境を整えるためだ。

南山女子の図書館には、現在でも英語の本がレベル1~8にシールで色分けされ、絵本から本格的な洋書までそろっている。

現状でも充実していると思われるが、それらがさらにバージョンアップされる。
さすがに毎年難関大学や医学部医学科に多数の合格者がいる学校だけに考えるスケールが大きい。
また、中学生でも英語力のある生徒が、どんどん高校生や大学生レベルの洋書まで読むことができる環境は、中高一貫校でしか整えることができないものだ。

また、椙山女学園中は今年度より、これまでの1時限を50分授業、10分休憩から、47分授業、8分休憩とし、その分、授業数を増やして英語の授業をこれまでより増やすことが実施されている。

文法や読解、英会話の授業の他に、週2時限「多読多聴」の授業が始まり、イギリスで使用されているテキストを使用し、段階的にレベルを上げて多読ができるようになる授業だ。

注目されるのは「英語ペン」の活用だ。
これはテキストにあるシールの部分にこの英語ペンをあてると、そのページの英文が読まれ、アメリカ英語、イギリス英語の両方で発音されるという優れものだ。
何回も繰り返し聴くことができ、「読む」・「聴く」力を鍛えることができる。
このペンを使用している学校はまだ少なく、最新の英語指導に取り組むのはやはり私立中だ。
今回紹介した学校以外の私立中も、英語学習については様々な工夫をしている。
HPやパンフレット、秋に行われる学校説明会で実感してみよう。

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