私立中学は幅広い教育内容や部活を選べるが、公立中学では選べない


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私立中学は幅広い教育内容や部活を選べるが、公立中学では選べない -シリーズ私立中講座③-

シリーズ私立中講座

選べる私立、決まっている公立

目次
  1. 私立の多様な価値観、多彩な教育
  2. 私立は中学生も高校生も共に大学入試への意識を高める
  3. 私立中学選びは迷う、弾む、高まる

私立の多様な価値観、多彩な教育

各私立中では建学の精神に基づいた教育が行われており、当然公立中とその内容は異なってくる。
さらに同じ私立中でも、例えばキリスト教系と仏教系の学校では、その建学の精神にあった教育が行われることから、その内容に違いが生まれる。
多様な価値観がある今の社会に、多彩な教育を実践している私立中に人気が集まるのは自然の流れだ。

【教育】

  私立中 公立中
教育内容 ・建学の精神に基づき、各私立中独自の教育が行われる。 ・指導要領に基づいた教育が行われ、各学校、指導内容に違いはない。
学習レベル ・受験勉強を経てきた生徒のため応用・発展的な内容から学習をスタートできる。 ・受験勉強は特にしていないため、基礎的な内容からのスタートになる。
教材 ・検定教科書以外に、私立中高一貫生用の応用発展内容のテキスト、教師が作成したオリジナル教材も使用。 ・検定教科書を使用。一部プリント類も作成されるが、教科書を補完するために使用。
学習範囲 中学校の学習範囲を中2末~中3夏前までに終えて、その後高校範囲に入る学校が多い。 ・中学校3年間で中学の学習範囲を終え、高校範囲の学習に入ることはない。
学習到達点 6年後の難関大学の入試にも対応できる学力。 ・3年後の公立高校入試に対応できる学力。難関私立高校の入試に対応できる発展的学力の指導までは行われない。
独自教育 ・宗教教育など、建学の精神に基づいた独自の授業が行われる。 ・建学の精神に基づいた独自の授業は行われない。

私立中は各学校独自の指導を組み立て、教材も教師作成のオリジナル教材を使用するなど、中学入試で合格した学力の高い生徒に対応できる指導が行われている。
学習目標が、大学入試と公立高校入試では、指導内容・レベルに大きな開きが生まれてくる。

【英語指導】

  私立中 公立中
英語教育 ・大半の中学校が週5~7時限の英語の授業があり、外国人教師による英会話の授業も毎週行われている
・独自の英語教材を使用する学校が多い。
・週3~4回の授業で、年に数回の外国人教師の授業がある。
海外研修 海外の語学研修、国内の英語村での研修も充実。 ・海外での語学研修は行われない。

英語教育は私立中の大きな特色の一つだ。
授業時間数が公立中の1.5倍から2倍となっており、外国人教師による英会話の授業も中1から毎週行われ、2名の教師によるチームティーチングも行われる学校もある。
中学生から制度として海外や国内の英語村などでの語学研修も充実しているが、公立中ではまず行われていない。
また、私立中では英検など各種検定試験も積極的に受験しており、中3時点で準2級や2級を取得する生徒も多い。

  私立中 公立中
5・6日制 5日制、隔週で土曜日に授業を実施する、完全6日制土曜日に教養講座を定期的に実施するなど様々な形態がある。 ・完全5日制で6日制を実施する公立中はない。
学校生活 ・高校入試がないため内申点を心配することなく、中学3年間を学習や部活に打ち込むことができる。 ・地域によっては、中1の内申点から高校受験の判定に使用されるため、内申を気にする学校生活になる。
部活動 多種多様な部活があり、弓道部、盆栽部など独自の部活がある学校もある。 ・一般的な部活で、独自の部活はほとんどない。
内申点 高校受験がないため、のびのびと過ごすことができる。 ・高校入試では合否を大きく左右するため、常に内申点を気にする学校生活になる。

私立中では高校受験がないこと、また高校受験に必要な内申書を気にすることなく、中学校生活を過ごせる意義は大きい。
中学と高校で学習や学校生活が分断されることなく、6年間の流れの中で学校生活や学習を組み立てることができることから、中3の卒業時まで部活に打ち込んだり、海外への語学研修、短期留学ができるのも私立中ならではの特色となる。
中3の夏前に部活を引退し、内申点を気にしながら学校生活を過ごす公立中との差は大きい。

私立は中学生も高校生も共に大学入試への意識を高める

高校生も一緒

公立中には中学生だけで大学入試を目指して学ぶ高校生はいない。私立中は同じ校舎、敷地に中学生と高校生が学び、部活や行事も中高生が一緒に行われるところもある。
真剣に大学受験勉強に励む高3生の姿を中1生が間近にみることができ、自ずと6年後の大学受験、さらにその先の将来を意識して学校生活を過ごすことになる。
あの先輩たちに続こうという意識が中学生から芽生えるのも私立中ならではだ。

【大学入試】

  私立中 公立中
大学入試 ・難関大学・学部の合格者が多い学校もあれば、系列大学への進学者が多い学校もある。
中学校のうちから大学入試や将来の進路を意識することができる。
・中学校で目指す受験は高校入試。
・大学入試が話題になることはない。
指導 ・中学校でも大学入試レベルまで掘り下げた授業をすることができ、多くの私学が高2までに高校の学習範囲を終えて、高3では大学入試に向けた演習を行うことができる。 ・高校入試に向けた授業が中心となり、高校の学習範囲に入ることはない。
系列大学 ・系列大学のある私立中高で、系列大学への進学を決めた生徒は、高校生のうちから系列大学の授業を受けることができる。 ・系列大学がある公立高校はない。

迷う、弾む、高まる

迷う、弾む、高まる

前回と今回で私立中と公立中の主な違いを見てきた。
私立中の教育形態・内容はまさに千差万別。
男子校、女子校、共学校に分かれ、キリスト教や仏教が母体の学校もあれば、企業が設立した学校、創立100年以上の伝統のある学校、まだ創立間もない学校。
一学年300名以上もあれば一学年100名以下の少人数教育を行う学校もある。
難関大学へ多数の進学者がいる学校もあれば、系列大学へ進学する生徒が多い学校、医学部進学者が多い学校もあれば、文系学部への進学者が多数の学校もある。
一つひとつの内容を掘り下げればもっと細かい違いが見えてくる。
その違いの中で、各私立中はまさに「多種多様」な教育を実践している。
さらに、家庭の教育方針、生徒本人の希望や資質に合う中学校を選択できることが、私立中の大きな特色だ
公立中は一つの中学校が指定され、自由に選べることはできない。

毎年何万人もの小学生が私立中を目指すのは、この私立中のバラエティに富んだ教育、そして「選択できる」ことにある。
「あの学校も、この学校もいい」、と学校選択に迷って、親子の会話が弾む。弾むから親子の絆は強くなる。
強くなるから私立中にかける想いが高まり、いっそう私立中志向が高まる。
だから毎年、愛知県で約1万2千名、首都圏では約5万名もの総受験者数に達しているのだ。

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