愛知県の中学入試事情 女子より先行している男子


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愛知県の中学入試事情 女子より先行している男子

シリーズ私立中講座

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愛知県の中学入試事情 女子より先行している男子

男子は堅実

前回女子受験生を取り上げたが、今回は男子受験生の動向を見てみよう。「男子校」と「共学校の男子」の2018年、2019年の志願者推移は下記のようになる。

<男子 志願者数 推移> 名古屋国際中の男女別のデータは非公表

    2018 2019 増減 % 女子
男子校 海陽 928 893 -35 ▼96.2%
東海 998 975 -23 ▼97.7%
名古屋 1395 1395 0 100.0%
南山男子 648 748 100 △115.4%
共学校 愛知 976 954 -22 ▼97.7% △114.3%
名電 624 707 83 △113.3% △142.5%
星城 124 92 -32 ▼74.2% ▼83.5%
大成 236 226 -10 ▼95.8% ▼91.1%
1094 1020 -74 ▼93.2% △104.3%
春日丘 277 276 -1 ▼99.6% △114.7%
市邨 70 125 55 △178.6% △141.2%
高蔵 36 75 39 △208.3% △220.8%
  合計 7406 7486 80 △101.1% △108.7%

※男子校は4校中1校。共学校の男子は8校中3校、計12校中4校が昨年より増加。

※女子校は6校中5校、共学校の女子は8校中6校、計14校中11校が昨年より増加。

男子は女子と比較すると全体では増えているものの、減少した学校が多くなっている。女子は女子・共学校を併願して合格できる可能性のある学校を1校でも多く受験しているが、男子は男子校と共学校の中から、進学を前提に受験する学校をしぼった堅実な学校選択になっている。

実質倍率

志願者の増減は倍率に影響し、形式倍率(志願者数÷定員)だけではなく、各学校の実質倍率(受験者数÷合格者数)を見ると、実際の入試がどのように動いたのかを見ることができる。次の実質倍率の表を見ると、昨年と比較してやはり女子校、共学校で上がっている学校が多く、★印の学校は志願者、実質倍率ともに上がった学校だ。

上がった学校は男子校が4校中1校、女子校は6校中4校、共学校は9校中5校で、やはり女子校、共学校の増加が顕著になっている。

<実質倍率の推移>

学校名 2018 2019 学校名 2018 2019
海陽 1.41 ▼1.36 愛知 1.38 1.38
東海 2.39 ▼2.27 ★愛工大名電 1.32 △1.64
名古屋 1.60 1.60 星城 1.22 ▼1.08
★南山男子 2.56 △2.90 大成 1.22 ▼1.15
★愛知淑徳 1.70 △1.82 2.58 ▼2.52
金城学院 1.37 ▼1.35 ★中部大春日丘 1.24 △1.39
★椙山 1.28 △1.31 ★名経大市邨 1.14 △1.15
聖霊 1.38 ▼1.23 ★名経大高蔵 1.17 △1.20
★名女大 1.03 △1.12 ★名古屋国際中 1.09 △1.10
★南山女子 3.62 △3.83      

2000名以上多い

2000名以上多い

 では、男子は女子と比較して私立中志向が低かったのだろうか?
数字をよく見ると決してそうではない。
男子校・共学校の男子志願者と、女子校・共学校の女子志願者の合計を比較すると下記の表のようになっている。
男子はもともと7000名台で、今年は女子との差が1600名台になったが、昨年までは2000名以上の差があり、男子の私立中志願者がすでに積極的に私立中を選択していた状態だ。今年は大学入試改革などの理由から女子受験生に動きがあったものの、男子は学校数が少ないのに2000名近く志願者が女子より多いということは、女子よりもすでに私立中志向が高い状態と言える。

<男女別 志願者数>

  2018年 2019年
男子校・共学校の男子(12校) 7406 7486
女子校・共学校の女子(14校) 5340 5807
2066 1679

そのため、実質倍率が下がっても男子校の入試難度は高く、不合格者も多い厳しい入試になっている。「不合格者が多い学校」「受験者に対して合格者の占める%が低い上位10校」を見ると、男子校が全て入っており、愛知県の中学入試は男子受験生の数が女子よりも多い状況だ。

<不合格者数の多い順>

  学校名 受験者 合格者 不合格者
1638 651 987 39.7%
東海 911 401 510 44.0%
名古屋 1361 851 510 62.5%
南山女子 690 180 510 26.1%
海陽 893 444 449 49.7%
愛知淑徳 978 537 441 54.9%
南山男子 629 217 412 34.5%
愛知 1363 987 376 72.4%
名電 802 488 314 60.8%
金城学院 801 594 207 74.2%

<合格者の%が低い順>

  学校名 受験者 合格者 不合格者 %
南山女子 690 180 510 26.1%
南山男子 629 217 412 34.5%
1638 651 987 39.7%
東海 911 401 510 44.0%
海陽 893 444 449 49.7%
愛知淑徳 978 537 441 54.9%
名電 802 488 314 60.8%
名古屋 1361 851 510 62.5%
春日丘 433 312 121 72.1%
愛知 1363 987 376 72.4%

志願者や受験者、倍率の増減だけを見ると、男子はあまり活発に動いていない印象を持つが、実際はそうではなく、女子受験生よりも先んじた動きの結果であり、女子以上の高い私立中志向になっている。

男子校の様子

男子校の様子

では各男子校の様子、今後の展望はどうなるだろうか。

【海陽中】

今年度から3教科・4教科選択入試となり、今年は志願者が減少したが、全寮制の学校として全国から志願者を集め、大手企業から出向してくる若手社員が寮で指導するのは他の学校の寮では見られない独自の指導体制になっている。今年も東大二桁の合格者を出し、初めて東大理Ⅲ(医学部)の合格者も出ている。科学の甲子園では中・高の各チームが優勝するなど、来年度は人気が高まる可能性がある。

【東海中】

東海中は例年1000名弱の志願者を集め、毎年志願者の多少の増減があっても、この地区、男子のトップ校として最難関の入試となっている。今年も国公立大学の医学部医学科の合格者数が全国1位、12年連続トップで毎年週刊誌で話題になっている。愛知県だけでなく他の地域からの注目度も高いため、東海地区以外の他県の受験生の動きも今後の動向に影響を与えるかもしれない。

【名古屋中】

名古屋中は志願者が1395名となり、男子校でこれだけの志願者を集める学校は全国的にもめずらしく、この地区は男子校を支持する家庭が多いと言える。文武両道で東大・京大・名大などの難関大学合格だけでなく、テニス部、水球部、馬術部、文学部の俳句部門など、全国レベルの部活もいくつかあり、従来の男子校の伝統を受け継ぐ貴重な存在で、来年度はさらに過去最高の志願者数になると予想される。

【南山中男子部】

 唯一志願者が大きく増えた南山中男子部、新校舎の完成、難関大学・学部の好調な合格実績、系列大学の南山大学へ推薦入学できることも、志願理由の一つとなっている。またこの地区で唯一私服通学の学校として、他の男子校とは異なるインターナショナルで自由な校風が志願増にもつながっており、このことは首都圏でも同じような傾向があることから、来年度も目が離せない学校だ。

 共学校では名電、市邨、高蔵は男女ともに志願者が増えて人気が高まっている、特に名電は愛知工業大学へ進学できること、また名古屋大など難関大学への合格者もでていることから来年度以降も男子・女子ともに人気が高まると予想される。

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