中学受験の国語の教え方は？読解力・記述力の訓練方法やテクニックを紹介
シリーズ私立中講座
中学受験を目指す際に、国語の成績が伸び悩むケースはよくある話しです。一方で、国語力はすべての科目に影響する力のため、苦手意識を克服しておく必要があるといえるでしょう。国語に関して、出題されるテーマや必要なスキルが幅広いため、どのように子供に勉強させれば良いのかわからないという親御様も多いでしょう。中学受験の国語では、漢字を暗記するだけではなく、読解力や記述力が欠かせません。
そこで今回は、中学受験における国語についての情報や、読解力・記述力の訓練法などを紹介します。
- 目次
中学受験「国語」の近年の傾向とは
近年の中学受験の国語は、以前と比べて出題傾向が変わりつつあります。近年の中学受験で出題される問題は、単純に漢字を覚えるような問題や読みやすい物語の読解だけではありません。効果的な対策を立てるためには、近年の国語の出題傾向を把握しておく必要があります。まずは、どのような傾向になりつつあるのかを押さえていきましょう。
長文化の傾向にある
近年の中学受験の国語では、問題が長文化の傾向にあるのが大きな特徴です。限られた回答時間の中で長い文章を読み解きながら、最終的に答えを導き出す必要があります。学校によって出題内容は異なるものの、数ページに渡る問題も考えられるでしょう。そのため、問題文を読みながら問題を振り返っていては、時間切れになる可能性があります。一読で全体の内容を把握する読解力が大切です。
思考力や伝達力が必要
国語に限らず近年の中学受験では、各科目で思考力が問われる傾向にあります。国語の場合、出題された文章を読んだうえで、自分の考えを求められるような問題が挙げられるでしょう。設問に答えるのみの問題であれば、参考書を繰り返し解くことで対応可能です。一方で、思考力や伝達力が問われる問題は、参考書を繰り返し解くだけで対応するのは難しいでしょう。
客観的な視点が求められる
人間関係に関するテーマを取り上げた問題も増加傾向にあります。この問題を解く際に必要となるのが、文章を客観的な視点で見る力です。例えば、出題された文章に自分の感情を入れて読んでしまうと、正確な答えを導き出すことが難しいといえます。客観的な視点を持つことで、書き手の意図を汲むことができ、読解力が上がります。
国語に苦手意識を持ちやすい子供の特徴
国語に苦手意識を持っている子供は多いです。自分の子供が国語に対して苦手意識を持っているという親御様も多いでしょう。国語が苦手な子供には、共通の特徴が見られます。ここでは、その特徴について紹介します。特徴を把握しておくことで、苦手意識を払拭するための対策が立てやすくなるといえるでしょう。
漢字力や語彙力が乏しい
漢字力や語彙力は、国語力を身に付けるために欠かせない基本的な部分です。漢字力や語彙力が乏しいために、国語に苦手意識を持つ子供は少なくありません。特に、近年の中学受験では読解力が求められます。本文中の言葉の意味がわからない場合、問題を解くことは難しいといえるでしょう。漢字力や語彙力は、学力全体の土台といえるものです。国語が苦手と感じる子供には、漢字練習や語彙力を増やす取り組みが欠かせません。
文章を正確に読み取るスキルが足りない
近年の中学受験における傾向にも通じますが、文章を正確に読み取るための客観的な視点を持てない子供も、国語を苦手と感じる傾向にあります。漢字力や語彙力があっても、客観視する力がなければ、文章問題を正しく読み解くことは難しいです。
考えをまとめたり書き出したりする習慣がない
国語の授業やテストでは、出題された文章や課題図書を読んで、自分の意見をまとめる問題もあります。しかし、普段から考えをまとめたり、自分の考えを書き出したりする習慣がなければ、このような問題に苦戦するでしょう。読書量が少ない子供に多く見られる傾向です。
中学受験の国語を苦手なまま放置するリスク
国語が苦手だからといって、そのまま放置してしまうと中学受験に大きく影響が出てしまいます。特に、国語はすべての教科にも関わるため、しっかりと対策をしておく必要があるといえるでしょう。続いては、国語を苦手なまま放置した場合のリスクについて紹介します。
応用問題が出たときに対応できない
国語に限らず応用問題が苦手な子供は、国語を苦手と感じる傾向にあります。応用問題を解くためには、読解力が必要です。問題文の意味がわからなければ、答えを導き出すことはできないでしょう。また、思考力も欠かせません。特に、普段勉強している内容とは異なる角度からの問題が出題されたときに、混乱する可能性があります。そのような際に、冷静に考えることができれば、落ち着くことができるでしょう。
他教科の対策にも影響する
近年の中学受験では、各教科において文章問題が増加傾向にあるのが特徴です。そのため、読解力や思考力は、他教科を解く際にも必要です。国語が苦手だからといって、後回しにしてしまうと、結果的にすべての教科に影響が出てしまうことも考えられるでしょう。そうならないためにも、国語力を高めておくことが大切です。
中学受験「国語」の読解力を高める訓練方法・テクニック
中学受験において、国語力を高めるためには、各分野に分けて訓練する必要があります。まずは、国語に限らず、すべての教科で大切となる読解力を高める方法について紹介します。この点を押さえておくと、各教科の問題が解きやすくなるといえるでしょう。
苦手な文章のジャンルに慣れる
子供が国語の受験勉強をする際、避けてしまうのが苦手なジャンルの勉強です。好きなジャンルの文章ならすらすらと読めるのに、苦手なジャンルの文章になると、途端に読めなくなる子供もいることでしょう。
一方で、苦手なジャンルがはっきりしているということは、対策が取りやすいともいえます。少しずつでも苦手なジャンルの文章に取り組むことで、だんだんと読み慣れてくるものです。ただ、いきなり長い文章を読み始めると挫折する可能性があります。そのため、まずは短い文章から読む訓練をさせると良いでしょう。
感覚で読まず論理的思考力を高める
論理的思考力とは、文章を整理しながら読む力です。筋道を立てながら読む力ともいえます。感覚的に問題を読み進めてしまうと、自分の感情が介入してしまい、正しい答えを導き出すことが難しくなるでしょう。一方で、論理的に読むことができれば、問題の本質が把握しやすくなります。そのため、難しい文章問題でも解けるようになってくるのです。
文章の作者ではなく出題者の意図を読み取る
近年の中学受験の国語で出題される問題は、長文化してきているという特徴があります。つまり、出題者の意図が読み取りにくい問題が増えてきているということです。国語の問題を解く際に大切なのが、出題者の意図を読むことです。出題者の意図を読むことで、問題を解ける可能性が高まります。
中学受験「国語」の記述力を高める訓練方法・テクニック
読解力が欠かせない中学受験の国語ですが、記述力も必要です。自分の考えや意見をわかりやすく記述できなければ、記述問題で点数を得ることは難しいでしょう。ここでは、記述力を高める方法やテクニックを紹介します。
漢字力や語彙力を身に付ける
国語における漢字と語彙に関しては、暗記がおすすめです。特に、漢字問題はどの中学校受験でもよく出題される問題です。確実に正解しておきたいポイントだといえるでしょう。また、語彙力も国語の基本です。語彙力は生活の中でも増やすことができます。語彙力を身に付ける具体的な方法として、読書が挙げられます。語彙力が身に付くと、国語に対する苦手意識が薄くなっていくことが考えられます。当然、記述力も上がっていくでしょう。
自分の考えを書き出すこと自体に慣れる
自分の考えを書き出すことに慣れることも、記述力を高めるためには大切です。記述力だけでなく、思考力や読解力、語彙力を高めることにもつながります。具体的な方法としては、日記や読書感想文を書くことが挙げられます。この2つを続けることで、自分の考えを書き出すことに慣れてくるでしょう。また、家族内で手紙のやり取りをするのもおすすめです。このような自分の考えを書き出すことを続けることで、徐々に記述力が上がってきます。
読書や新聞を読む習慣をつける
記述力を高める方法として、質の良い文書を読むことも有効な方法です。例えば、小説や新聞は文章のプロが手がけたもの、つまり、正しい日本語でまとめられているものです。毎日少しずつでも読み続けることで、記述力が上がっていきます。一度にすべてを読む必要はありません。新聞であれば、中学受験をする子供でも読みやすいコーナーを見つけて、読ませてみると良いでしょう。小説であれば、一日のページ数を決めて、読ませるだけでも記述力のアップにつながります。
苦手克服！中学受験「国語」のよくある誤解
中学受験に挑む前に、子供の国語の苦手意識を払拭する必要があります。一方で、従来の国語に対する考え方や誤解が、苦手克服を妨げているというケースも考えられるでしょう。続いては、中学受験の国語についてよくある誤解について紹介します。
読解力や語彙力は訓練で伸ばせる
かつては、国語を解くためにはセンスが必要という考え方が浸透していました。確かに、国語には算数や理科のように方程式があるわけではなく、明確な答えが導きづらいといえる部分もあるでしょう。しかし、国語に欠かせない読解力や語彙力、思考力は訓練を重ねることで伸ばすことができます。国語はセンスであるという考え方を言い訳にして勉強を怠ってしまえば、すべての科目に影響してしまう可能性があるでしょう。手遅れにならないためにも、早い段階から勉強を積み重ねることが大切です。
読書好きの子供が国語を得意とは限らない
国語は日本語を学ぶようなイメージがあるため、読書が好きな子供であれば、国語が得意であると考えている親御様もいるかもしれません。確かに、文章に慣れているという意味では有利に働くことが考えられます。一方で、読書好きな子供は、文章の好き嫌いがはっきりしているという可能性もあります。つまり、中学受験において自分の好みとは違う文章が出題されたときに、解くことができない可能性も考えられるということです。さまざまなジャンルの文書が読めるようになるために、苦手なジャンルの本を読ませることも大切です。
問題集や過去問をやるだけでは意味がない
算数や理科は、問題集や過去問を繰り返し解くことで力がつきやすい科目です。一方で、国語は問題集や過去問をやるだけでは不十分だといえます。そもそも、国語は家庭学習が難しい科目といわれています。漢字力はドリルや問題集を解くことで伸ばすことができますが、読解力に関しては、独学で伸ばすことが難しい部分だといえるでしょう。特に、国語に苦手意識を持っている子供や、テストの点数が伸び悩んでしまった子供には、プロの力が必要だといえます。塾に通い、国語を重点的にサポートしてもらうことが大切です。
まとめ
中学受験に出題される問題は、国語に限らず読解力が必要な長文問題が増えています。そのため、国語力を伸ばすことは大切なことだといえるでしょう。一方で、国語に苦手意識を持つ子供も多く見られます。一昔前の「国語はセンス」といったイメージに翻弄されて、苦手克服を放置してしまうと、他教科にも大きな影響を及ぼすでしょう。
国語力を伸ばすためには、読解力や記述力を伸ばす訓練が必要です。漢字や語彙力を伸ばすためには、自宅での反復学習が有効だといえます。一方で、読解力を家庭学習だけで伸ばすのは、難しいといえるでしょう。
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