偏差値 シリーズ私立中講座⑭
シリーズ私立中講座
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偏差値一覧(愛知、岐阜、三重県の私立中学)
受験の世界では偏差値が一つの物差しになっている。
中学受験だけでなく高校・大学の受験も偏差値の存在は大きい。
この地区で多くの中学受験生が受ける名進研と日能研の公開模試、主だった中学校の「合格率80%の偏差値」は下記のようになっている。
愛知中を例にすると、名進研では総合偏差値45、日能研では43以上の結果をとっていると、合格する可能性が高いことを下記の情報は表している。
学校名 | 名進研公開模試 | 日能研公開模試 | |
---|---|---|---|
共学校 | 愛知中 | 46 | 43 |
愛知工業大学名電中 | 40 | 37 | |
大成中 | 40 | 37 | |
滝中 | 60 | 59 | |
中部大学春日丘中 | 43 | 38 | |
鶯谷中 | 42 | 40 | |
高田中 | 54 | 53 | |
男子校 | 海陽中(入試Ⅰ) | 54 | 51 |
東海中 | 64 | 59 | |
名古屋中 | 51 | 49 | |
南山中男子部 | 52 | 49 | |
女子校 | 愛知淑徳中 | 53 | 51 |
金城学院中 | 41 | 42 | |
椙山女学園中 | 35 | 40 | |
南山中女子部 | 64 | 60 |
偏差値の正しい見方 -中学受験の偏差値の特徴―
①決して低い数値ではない
テスト結果を見る際、各教科の平均点がバラバラの場合、どの教科ができている、できていないが分かりにくい。
そのため平均点を全て「50」に換算して、一つの物差しで各教科を比較すると出来・不出来が見やすくなる。
偏差値50あればちょうど平均点ぐらいで、偏差値60であれば上位にいることになり、学習を進める上で便利な指針となる。
中学受験の偏差値を見る際、注意しなくてはいけないことが、この数値は私立中を目指す学力の高い小学生の中だけで出される数値だということだ。
偏差値30、40台の偏差値は学力が低いと思いがちだが、実際は中学受験をしない小学生も含めると上位に位置していることになる。
中学受験の偏差値が30、40台の中学校で、全ての中学生が対象となる高校受験も実施している学校では、50、60台の偏差値となり、上位校に位置している学校も多い。
そのため、中学受験の偏差値は、私立中を目指す学力の高い一部の小学生の中での数値だということ、その中で切磋琢磨している結果で、偏差値30、40台は決して低いものではなく、子どもたちの努力の成果だ、という見方が必要だ。
②偏差値は入試のみの数値
偏差値はあくまでも入試時点の学校のレベルを表すものであって、学校の教育内容を表すものではない。
入試でこのくらいの学力があると合格しやすいことを数値で表したもので、学校の教育内容、校風、授業内容とは一切関係がない。学校選びの一つの要素にはなるが、絶対的なものではない。
だから、学校の教育内容を実際に見ないで偏差値だけで学校選びをするのは間違いだ。
偏差値が高い学校でも実際に学校見学をすると、学校の雰囲気が我が子に合わないと感じることもあり、その逆の場合も多々ある。
学校選びは、いろいろな学校に我が子と一緒に足を何度も運ぶことが第一で、次にその学校に入るためにはどのくらいの学力が必要なのかを、偏差値を参考にして学習を組み立てるのが正しい手順になる。
③偏差値が異なる
母集団か異なれば偏差値の数値も異なってくる。
名進研公開模試の母集団は地元の受験生が中心で、6年生の志望校判定も地元の学校が中心となる。
一番上位の偏差値設定が地元の南山中女子部や東海中になるため、日能研公開模試よりも偏差値が高くなる傾向がある。
日能研公開模試は全国模試で開成中や灘中を志望する受験生も受けるため、南山中女子部や東海中の設定が下がってくる。
模試の性格的なもので、どちらが正しい数値というものではない。
また、上記にもあるが高校受験となると全ての中学生が受験するため、母集団が学力の高い生徒からそうでない生徒まで幅広くなり、中学受験の偏差値は全く異なるものになってくる。
愛知中は中学受験では45(名進研)、43(日能研)で設定されているが、高校受験の模試では愛知高校・選抜クラスは15ポイント近く上がっている。これは愛知中のレベルが低くて、高校が高いのではなく、母集団の違いにより生じる現象だ。
偏差値の次は、内申点について知りましょう!
志望校判定の見方 -振り回されるのではなく活用する-
①数値ではなく幅で動く
実際の入試は一つの数字の偏差値で動くわけではない。各模試の合格率80%以上の偏差値がないと合格できないということでは決してない。
ここからここまでの偏差値帯の受験生が合格するというのが実際の入試で、一つの数値ではなく幅で動いている。模試はそれを便宜上一つの偏差値で表しているにすぎない。
そのため、各模試は合格率50%、20%などの偏差値も設定されている。
どんなに学力の高い受験生でも合格率100%は受験の世界にはない。当日インフルエンザによる高熱で実力が発揮できないこともある。
また、合格率20%でも入試直前の頑張りで学力が大きく伸びて、入試直前では合格率80%近い学力になって合格をつかむ受験生もいる。
それは模試結果に反映されない受験生の努力になる。
この偏差値がとれないとだめでなく、合格の偏差値幅は広いということを忘れてはいけない。
②正しく活用する
6年生の秋の時期になると志望校判定も出力される。
模試結果から偏差値が出力され、先の合格率の偏差値を基準にして合格する率が高い、あと一歩などの判定が出てくる。これの見方も注意しなくてはいけない。
例えば10月に模試を受けてその志望校判定が出た場合、それはあくまでも10月時点での学力を基に判定したものであって、それは別に入試当日の合否を占うものではないということ。仮にかんばしくない判定結果であれば、入試までにどの教科、単元の学習に力を入れればいいかを分析して、学習を組み立てる。模試結果はその材料となる。判定がよくない、もう志望校をあきらめよう、は間違った見方であり、それでは何のために模試を受験しているか分からない。また、判定がよい結果で、それで安心して勉強に手を抜いてしまうと、入試当日思わぬ結果になることもある。
判定がよくても、悪くても、答案内容を見直し、入試本番で同じ間違いを繰り返さないように努力することが、模試を受ける一番の意義となる。
非常に厳しい判定結果でも、その後の努力でその判定結果をくつがえして合格した例はいくらでもある。
判定がよい結果であればそれを維持できるように一層努力し、よくない結果であればそれをくつがえすためにさらに努力を積み重ねる、それが偏差値、判定の正しい活用方法だ。
偏差値や判定に振り回されるのではなく「活用する」こと。正しく活用することが合格への道になる。
偏差値の次は、内申点について知りましょう!
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