進化する女子校!女子校の教育内容と利点を紹介 シリーズ私立中24
シリーズ私立中講座
女子校のイメージは良妻賢母?
私立中には公立中にない形態として、男子校、女子校がある。創立以来100年以上続く伝統校も多く、男子、女子の特性を生かして、それぞれの教育に力を注いでいる。共学校で小学校から大学まで過ごした保護者にとって、男子、あるいは女子だけの学校生活は、なかなか想像しづらい面がある。
今年の中学入試は女子校人気となり、高校入試でも椙山女学園高校、名古屋女子大学高校の志願者が大きく伸びた。
女子校の情報発信が積極的に行われるようになったことも影響しているが、女子校は学校生活を見ることができないためか、殊に父親は女子校の教育をまだまだイメージできないようだ。
実際、女子校ではどんな教育が行われているのか、女子校の利点は何か、今回見ていこう。
女子校というと昔ながらの良妻賢母のイメージを持たれる人もいるが、現在の女子校は全く違う。
その伝統を生かしながらも、将来、社会の中で活躍できる自立心を養う教育が行われている。
女子校は大きく進化している。
女子校の六つの特色
①異性から見て素敵が基準にならない
女子校は男子がいない。いなければ男子から見てかわいい子、素敵な子が学校生活を過ごす基準にならない。
中学高校の6年間で、自分が素敵であるためには何をすればいいか、中高6年間どのように過ごして、将来どんな進路に進みたいか、を考えることができる。基準が男子の目ではなく「自分がどうありたいか」、主体的に将来のことを考えられる環境がある。
②自立心とリーダーシップ
一般的に男子が力仕事をして、女子は軽い荷物を運ぶなどの分担がある。
例えば、文化祭の準備で、男子が重い荷物を運んで、女子は体力仕事ではない作業を分担することが多い。
しかし、女子校には男子はいない。力仕事も全て女子が行う。
そのため、男子に頼るのではなくいつも女子が主役で、なんでも自分たちでやり遂げようとする自立心、リーダーシップが自ずと身についていく。
③真剣になれる
女子校の体育祭を見学すると、女子生徒がすごい形相で走っている姿が見られる。
異性がいると、つい男子の目を気にして、そこまでなりふり構わずに力をだすことをしようとしない。
どうしてもセーブしてしまう傾向があるが、女子校では逆で思いっきり力を出し切ることができる。
だから大きく成長することができる。
④理系志望者が多い
傾向として男子は理系科目が強く、女子は文系が強いということは確かに見られる。
そのため、男子がいると女子はどうしても「私は理系が弱い」という意識を持ってしまう。
しかし、男子がいないと、女子は理系が弱いという意識が薄れる。
その結果、共学校の女子と比較した場合、女子校では理系を志望する割合が高い。
⑤キャリア教育
どの女子校でも、大学進学や将来のことについて考える様々な講座が設けられている。
大学ガイダンス、卒業生の大学紹介や学習アドバイス、各方面で活躍している社会人の講演会、企業訪問、首都圏や関西圏の大学見学。
さらに、長期休暇に海外での語学研修、短期・長期留学など、見聞を広め卒業後の進路を考える教育が充実している。
⑥礼儀作法
どの女子校でも、大学進学や将来のことについて考える様々な講座が設けられている。大学ガイダンス、卒業生の大学紹介や学習アドバイス、各方面で活躍している社会人の講演会、企業訪問、首都圏や関西圏の大学見学。さらに、長期休暇に海外での語学研修、短期・長期留学など、見聞を広め卒業後の進路を考える教育が充実している。
女子校は理系に強い
上記の女子校の特色の中で、意外感があるのは④の「理系進学者が多い」ではないだろうか。
女子校というと文系のイメージで、語学や文学系に進学する生徒の方が多いように思われているが実際は違う。
この地区の女子校でNO.1の大学進学実績を誇る南山中高女子部を見ると、学部別の進学先は次のようになっている。
現役生の約半数が理系学部に進学し、医学系は16.3%と高い割合になっている。
<南山中高女子部 系統別大学進学者割合・現役>
文学・人文 | 16.3% | 理学 | 5.0% | 薬学 | 2.8% |
---|---|---|---|---|---|
社会・国際 | 6.4% | 工学 | 14.9% | 看護・保健 | 1.4% |
法学・政治学 | 12.8% | 農・獣医・水産学 | 5.7% | 生活・芸術・スポーツ | 4.3% |
経済・経営・商学 | 10.6% | 医学 | 16.3% | 情報・環境・総合・人間学 | 2.8% |
教育・教員養成 | 0.0% | 歯学 | 0.7% | ― | ― |
女子校、共学校は「どちらがよい」というものではない
今回は女子校の特色の内容だが、共学校には男女が協働で切磋琢磨できる環境があり、共学の特徴を生かした教育が行われている。
もちろんどちらがよい、というものではなく、それぞれの良さがあり、それを選択できるのが私立中進学の魅力であり、子供の将来の進路の幅を広げるものになる。
この東海地区には全部で8校の女子校があり、各学校独自の教育を実践している。
学校説明会や文化祭を見学すると、女子校の特色を体感することができるので、ぜひ見学してみよう。
<愛知県>
愛知淑徳中 | ・明治38年創立、1学年280名、高校募集はなし。 ・強さと優しさを育てる「淑徳魂」が教育目標。 ・例年10名前後が名古屋大学に進学。 |
---|---|
金城学院中 | ・明治22年に創立、1学年320名、高校募集はなし。 ・自立した女性を育てるプロテスタント校。 ・系列大学と他大学に進学する生徒が半々の学校。 |
椙山女学園中 | ・明治38年創立、1学年約250名。高校募集あり。 ・「人間になろう」を教育目標として幼稚園から大学院までの総合学園。 ・約7割の生徒が系列大学に進学。 |
聖霊中 | ・昭和24年創立。1学年200名、高校募集あり。 ・南山学園の一つのカトリック校。 ・上智大や南山大への推薦枠が充実。 |
名古屋女子大中 | ・大正4年創立。1学年約120名、高校募集あり。 ・「親切」を教育の柱として社会で活躍する女性を育成。 ・系列大学だけでなく、他大学への進学も増えている。 |
南山中女子部 | ・昭和23年創立、1学年200名、高校募集なし。 ・毎年東大、京大などの難関校合格者を出すカトリック校。 ・国公立大、医学部医学科への進学者が多い。 |
<岐阜県>
聖マリア女子学院中 | ・昭和38年創立、1学年約60名、高校募集あり。 ・女性としての品格、優しさ、賢さをはぐくむカトリック校。 ・上智大や南山大への推薦枠があり、昨年は東大合格者がでる。 |
---|---|
<三重県>
セントヨゼフ女子学園中 | ・1959年創立、1学年90名、高校募集あり。 ・世の光・地の塩をモットーとするカトリック校。 ・上智大や南山大への推薦枠がある。 |
---|---|
こちらの記事もオススメ
Tweet |